本当に「わかりやすい」参考書が欲しい?

10年前ぐらいに、C言語の仕事を始める人向けに書いたテキスト

序文

自分は学生の頃からプログラマ志望だったので、どの参考書がいいか、という話をずいぶんしてきた。しかしかつての自分の経験を振り返ってみると、間違った選択をずいぶんしたと思う。

その頃の自分に言いたい、自分にとっての真実を以下に書く。

参考書を買うのはどんな時か

もしも1週間後に資格試験を受けるなら、合格するためのわかりやすい参考書が欲しいと思うのは当然だ。また学生で期末試験を控えていて、これから出題範囲の勉強を始めるというのなら、短い時間で理解できる、わかりやすい参考書を使って勉強するべきだと考えるだろう。

現実には

しかし新しいプログラミング言語を学びたいという時……ペーパーテストを受けるわけでもない時……その人にとって必要なものは、本当に「わかりやすい」参考書なのだろうか。

実際のところは、そのプログラミング言語を使って、何か作りたいとか、新しい仕事が欲しいとか、そういう事だろう。

だから参考書が分かりやすかろうが、分かりにくかろうが、それを読んでいる時間なんて、プログラムをする時間に比べると物凄く短い時間になるだろう。
そして1週間もしないうちに、参考書がわかりやすいかどうかなんて気にもしなくなって、索引のページで目当ての記事を探したり、F1キーでMSDNを表示したり、manコマンドを入力したり、Googleツールバーに知りたい事を入力したりしかしなくなる。

どうするべきか

だからあまり、わかりやすい参考書を探すのに必死にならないほうがいい。もしもC言語の本を1ヶ月間読み続けたりしているのなら、これからそんな事はしないようにしよう。

自分の書きたいプログラムを書こうとして、それを実現するために参考書を利用するようにしよう。

C言語を使うなら、「エキスパートCプログラミング」は面白いから早めに読むといい。「プログラミング作法」とかはいい本だけど、後出しのCode Completeの方がまとまってるからそれだけ読む方が効率がいい。Code Completeを最初のページから順に読んでいくのはダルいので、最初は自分が興味を持てそうな章だけ読むのをお勧めする。